こんにちは小倉あずきです
2022年2月24日。この二日前はスーパーねこの日でした。
ついにロシアがウクライナに侵攻しました。
ロシアのウクライナ侵攻から第三次世界大戦が始まるのでは、とまことしやかにささやかれる中、
このウクライナ問題、一体なんなのか。
いま起きていることをぜひお子さんに説明してあげてください!
小学生にも分かるように書いてみます。
ユーラシア大陸は世界で一番大きな大陸で、
西側にヨーロッパの国々、東側に大きくロシア、ロシアの南側にアジア、インド、中東地域がすべて地続きでつながっています。
日本は周りを国土の12倍もの広い海(EEZ=排他的経済水域)に囲まれている島国なので
となりの国が中国や、韓国、北朝鮮、ロシア、アメリカであるといっても、
「海外の国」だなという感じですが、
大陸にある国々はお隣の国と地続きで隣り合っているので、
日本の感覚よりピリピリした緊張感のある関係です。
世界の国の成り立ちをざっくりふたつに分けると、
・皇帝がワントップ体制で国を管理する社会主義、共産主義国家(ロシア、中国、北朝鮮、ベトナム、ラオス、キューバなど)=東側諸国
・議会制政治などで民主主義に基づいた資本主義国家(日本、韓国、アメリカ、EU諸国など)=西側諸国
と分けることができます。
第二次世界大戦のあと次第に対立を深め、
社会主義国家(東側)VS資本主義国家(西側)の緊張関係が続いた時代を東西冷戦時代と呼び、
この時代に西側アメリカチームがNATO=北大西洋条約機構という多国籍軍を作ったので、
東側ロシア(旧ソ連)チームも対抗してワルシャワ条約機構という多国籍軍を作ったのですが、
ベルリンの壁やソ連が崩壊し、東西冷戦時代が終わったのでワルシャワ条約機構はなくなりました。
その一方でNATOという軍隊は現在まで残り、その後ヨーロッパには新たにEUという経済圏が誕生し、
西側諸国のつながりはますます強くなり、大きく広がっていきました。
旧ソ連が崩壊した後に東側旧ソ連チームに属していた東ヨーロッパの国々も独立し、民主化、経済の自由化をすすめ
次々とNATOやEUに加盟するようになり、
気が付けばロシアのすぐお隣ウクライナまでNATOに参加したいというようになりました。
NATOの設立の目的は「アメリカを引き込み、ロシアを締め出し、ドイツを抑え込む」なので、
となりの国がNATO加盟国になるということは、となりの国からつねに銃口を向けられているように、ロシアにとっては感じる、と。
また、近隣の旧共産主義国が次々と民主化政権を成立させており自国の成り立ち、皇帝ワントップ体制の足元が揺らぐことをおそれたことも原因のひとつです。
そして、ロシアは広い国ですが、寒い国で、昔から凍らない港が欲しくて南下してはトラブルになってきました。
ウクライナとロシアの隣接地域には黒海というヨーロッパのギリシャ、イタリアまで行ける海があります。
この海に出ている半島がウクライナのクリミア半島です。
クリミア半島はロシアにとって軍事的にも、経済的にも、要衝(ようしょう)。絶対に抑えておきたい場所でした。
2014年にロシアはクリミア半島を一方的に併合しました。
ロシアにとって重要だったので、取ったのです。北方領土のときと同じです。
このとき侵攻されたウクライナのもとに西側ヨーロッパからの応援が来なかったので、
このことはロシアからすると、
「隣で戦火が上がっていてもNATOに加盟していなければ手出ししてこないんだな」、と。
「やはりNATOに加盟させないことは重要だ!」となるわけです。
それから8年経って、もとは同じ東側旧ソ連チームだった東ヨーロッパの隣接地域がオセロのようにEUやNATO側に加わる中、
ウクライナもNATOに入りたいといっています。
ウクライナはNATOに早く入りたいので、審査の進み具合を示してほしいとNATOに申し入れていますが、
NATOはロシアを警戒してなかなかウクライナ参加の手はずを整えません。
ウクライナがロシアと紛争中であればNATOは加盟を認めないだろうと考えて
ロシア側はもめている感じを出しているだけで、戦争しようとは思っていないのでは?と言う人もいましたが、
実際に2月24日に戦争がはじまりました。
ウクライナは旧ソ連の国なので、地域によって親ロシア派と反ロシア派とに分かれています。なので、
ロシアはこの戦争の目的を
「ロシア人の保護が目的であり、国土を併合するかは考えにない。でも、ウクライナの武装解除は求める」ということにしました。
武装解除とは軍隊をなくさせるということ。
何を意味するのでしょうか。
ウクライナという国家を解体してロシアの支配下に置くということです。
戦後の日本のようです。
ロシアは要衝クリミア半島と親ロシア派の国民を有する隣国ウクライナを敵側NATOに渡したくない。
もっといえば、影響力の及ぶ支配下に置いておきたい。
地続きのヨーロッパとの緊張をさけるための緩衝地帯でい続けてほしい。
攻め込まれたウクライナは大変な犠牲を出しながら決死の反撃を続けています。
ロシア側は情報規制をしロシア国民に向けて国営放送で侵略が正当であると報道していますが、アメリカはロシアの情報戦に対応すべくつかんだ情報をこれまでになく開示しています。
ウクライナは「もうNATOには参加しない」といえば戦争は終わるのでは?
戦争になってまでまだNATOへの参加を撤回しないのはなぜ?
それほどまでにこの支配から解放されたかった、と?
いいえ、ウクライナの人々はロシア軍が過去にしてきた所行を知っているのです。
降伏しようとしまいと、勝つか追い払う以外に生き残る道はない。
だからウクライナの人々は降伏しないのです。
一方ロシアではロシア人による戦争反対のデモも行われていて千人以上が国家警察に逮捕されていて、
大統領以外に戦争を望んでいる者はいないと主張しています。
最前線で戦っているロシア軍の兵士は、何のために戦っているのかと士気が下がったりしないものなのでしょうか。
士気が下がって投降した兵士もいたようですが、略奪した品物を自国に送ったり、ロシア軍が支配した地域が解放されたあと地雷が使われていたり、とても人間のすることとは思えないひどいありようであったことも確認されています。
ロシアはNATOの出方をみています。
ウクライナに侵攻する前に、
「ウクライナを支援したり、ロシアに制裁したりしたらバルト海に通してる天然ガスのパイプライン、止めるからな!ドイツよ!」と言いました。
ロシアからパイプラインで天然ガス供給を受けているドイツは自国経済を考えて困ってしまいました。
ドイツやEU諸国がひるんでしまったので、日本は同盟国アメリカの要請に応じて自分のところの天然ガスをヨーロッパに供給することを決めました。(日本はNATOにもEUにも入っていません。ロシアへの経済制裁はしています)
NATO加盟国はロシアへの経済制裁とウクライナへの武器の支援などをしていますが、
軍隊を出していません。
アメリカのバイデン大統領は対応をきかれ、
「武器などの支援はするが、ウクライナはアメリカの同盟国でもないし、NATO加盟国でもないので、アメリカとして直接ロシアと戦うつもりはない」と答えました。
アメリカはオバマ大統領の時に「世界の警察をやめる」と宣言し、トランプ大統領のときに「アメリカファースト」と宣言していて、よその国の戦争に参戦しても得が少ないので、自国民の犠牲を出したくないと考えていることもありますが、いちばん大きい理由として、
アメリカがロシアと直接戦わないのは、核戦争を避けたいからです。
もう一つの大国中国は、ロシア側につきました。
北朝鮮もロシアに崩壊されると困る国です。
いよいよ旧社会主義陣営VS資本主義陣営の様相を呈してきました。
NATO軍が出れば全面戦争。
出なければウクライナが白旗を上げ滅亡させられるまでの戦争。
NATO加盟国ではない日本に仲裁役をしてほしいとの国際社会の要請も当初ありましたが、
日本は西側諸国と足並みをそろえてロシアに対する経済制裁を行っています。
クリミア半島と同じように、このどさくさに紛れて万が一
中国の要衝(絶対に抑えておきたい場所)である台湾に中国が侵攻なんてことが起こったら、日本はどう出るのか。
憲法9条があるから大丈夫?いいえこちらが攻め込まなくても敵が攻め込んでくるのは防げません。
日本の同盟国アメリカは助けてくれるでしょうか。
供与された精密な情報と最新の武器を手に、ロシアと戦っているのはウクライナの人々です。
NATO軍が出なかったとして、万が一ウクライナの東部がロシアに併合されて終わったとしたら、
世界中がそれは国際法違反だとつぶやいただけ。
世界は他国が侵略される様子を見ていただけになります。
そんなことがまかり通ってしまうなら他国への侵攻をやりたい国はほかにもあるわけで、
この100年の間、自国の領土を広げない、他国を侵略しないとしてきた世界の秩序をこれからずっと守りきることができるのか。
キューバ危機以来の最悪の結末、核戦争を回避することはできるのか。
エネルギーをめぐる攻防も続きます。
当然ガソリン価格は高騰し、経済は混乱します。
西側諸国の多くが感じている21世紀になってまでまた100年前と同じ野蛮な戦争をするのかという不毛感と
この100年現状変更のチャンスを伺ってきた国の野望との間には深い溝があります。
過去二度の世界大戦のときも、限定的な地域でのもめ事に端を発しまさか世界中が戦火に巻き込まれることになるとはだれも思わなかったはずです。
戦争の歴史を学んできたはずの人類の英知が試されています。
世紀の大事件がこれから目の前で繰り広げられていきます。
ぜひ親子で子ども新聞を読んで考えてみてください。 (小倉あずき)
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